【理事長ブログ】「アンチエイジング」から「リバースエイジング」へ【前編】

こんにちは。みなとみらい麻の葉クリニックの理事長の大井です。

皆さんは「エクソソーム」という物質をご存知でしょうか。

エクソソームは人間だけでなく、植物、動物などのすべての生命体に存在する細胞から分泌される「細胞外小胞」のことです。エクソソームは直径100nmほどの極めて小さい物質で細胞間の情報伝達を担う生命維持に欠かせない物質です。

「エクソソーム」は、細胞間で良い情報伝達を担うエクソソーム(善玉エクソソーム)から病気などに利用され悪い情報伝達を担うエクソソーム(悪玉エクソソーム)など、エクソソームの種類は多岐に渡ります。

一般的にエクソソーム療法では善玉エクソソームがもつ「炎症を抑制する作用」「細胞を修復する作用」「免疫を調整する作用」を利用しています。その作用により、痛みの軽減、若返り、組織の修復などの効果を期待する治療を行います。

一方で、がんやその他多くの病気において悪玉エクソソームがどのようなメカニズムでヒトの体に病気を引き起こしているのか、そのメカニズムの解明が医学を大きく発展させると期待され、世界中の多く研究者から注目を集めています。

今回は診療で取り入れられる善玉エクソソームの働きについてご紹介したいと思います。加齢の主な要因は全身で起こる炎症と細胞損傷です。炎症を抑え、壊れた細胞を修復する作用を持った「善玉エクソソームの減少」は「加齢」と深い関連があります。

「善玉エクソソーム」が枯渇した成人の体内では、「炎症」、「細胞や組織の損傷」、「免疫低下」が常態的に起こり、身体機能の低下、内臓機能の低下、見た目の老化など様々な加齢性の変化が起こります。

「善玉エクソソーム」の減少は間葉系幹細胞の減少を意味します。善玉エクソソームを放出する間葉系幹細胞は乳幼児の体内には多くありますが、加齢とともにその数は激減します。乳幼児の頃を100%とした場合、10歳を過ぎる頃に10%までに減少し、50歳で2%、80歳では0.5%まで減少します。

この「善玉エクソソーム」を治療で体内に充填することにより、若い頃のような心身のパフォーマンスを取り戻すことができます。



【続編】ではエクソソームの治療効果が確認されている疾患をご紹介いたします。

※エクソソームは研究用試薬の扱いになっています。エクソソームは臨床的な安全性なども分かってきたとはいえ、いまだ長期にわたる人体への影響など安全性についてのエビデンスレベルはまだ高いとは言えません。

※画像出典協力:ExoEarth 株式会社