【脱毛症】iPS細胞で「髪の種」を再生

神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)は、iPS細胞から作製した「毛包原基(髪の種)」をマウスに移植し、毛髪の再生に成功しました。この毛包原基は、毛髪を生み出す幹細胞を自己組織化させて形成されるもので、従来の治療では困難だった「毛髪の総本数の増加」を可能にする画期的な技術です。

研究では、上皮系と間葉系の2種類の幹細胞を三次元培養し、酸素透過性の高いマイクロウェルアレイを用いて、約5000個の毛包原基を一度に作製。これをマウスに移植すると、毛髪が高効率で再生されることが確認されました。

この成果は、脱毛症や白髪などの治療にとどまらず、iPS細胞による再生医療の可能性を大きく広げるものです。患者自身の細胞から安全に毛髪を再生できる未来が現実味を帯びてきました。今後は、ヒトへの臨床応用に向けて、移植技術の精密化や大量調製の効率化が進められる予定です。

研究グループ:神奈川県立産業技術総合研究所(日本)
参照: 日本経済新聞