【パーキンソン病】iPS細胞から作製した神経細胞を脳に移植、臨床試験が成功
住友ファーマと京都大学は、パーキンソン病の根本的な治療を目指し、iPS細胞から作製した神経細胞を患者の脳に移植する臨床試験を実施し、無事に終了しました。これは、世界でも前例の少ない再生医療による神経疾患へのアプローチであり、長年治療法が限られていたパーキンソン病に対して大きな希望をもたらす成果です。
パーキンソン病は、脳内のドーパミンを作る神経細胞が減少することで、手足の震えや筋肉のこわばり、動作の緩慢などの症状が現れる進行性の神経疾患です。これまでの治療は、薬でドーパミンを補う「対症療法」が中心であり、病気の進行を止める根本的な治療法は存在しませんでした。
今回の研究では、他人由来のiPS細胞からドーパミン神経前駆細胞を作製し、それを進行期のパーキンソン病患者の脳に直接移植。移植後の経過観察では、安全性に問題はなく、運動症状の改善が確認されました。この成果は、失われた神経細胞を補うという、病気の原因に直接働きかける「根本治療」の可能性を示しています。
さらに、2025年にはこの治療法を「ラグネプロセル」という名称で国への製造販売承認申請が行われる予定です。厚生労働省の「先駆け審査制度」にも指定されており、迅速な審査が期待されています。
この研究は、山中伸弥教授によるiPS細胞の発見から約20年を経て、再生医療が“夢”から“現実の治療”へと進化した象徴的な成果です。パーキンソン病に苦しむ多くの患者にとって、新たな選択肢となる日が近づいています。
研究グループ:住友ファーマ(日本)、京都大学(日本
参照:2025年1月14日11時34分 日本放送協会(NHK)配信ニュース