【急性骨髄性白血病】白血病に挑む新たな免疫治療
京都大学医生物学研究所では、急性骨髄性白血病の治療に向けて、iPS細胞から作製した「キラーT細胞」を患者に投与する臨床試験が始まりました。この治療法は、がん細胞をピンポイントで攻撃する免疫細胞を人工的に再生し、患者の体内に送り込むという、これまでにない革新的なアプローチです。
急性骨髄性白血病は、血液のがんの一種で、進行が早く、従来の抗がん剤や骨髄移植では限界があるとされてきました。今回の研究では、がん細胞に特有の目印(WT1抗原)を認識できるように設計されたキラーT細胞を、iPS細胞から大量に作製。これを患者に投与することで、がん細胞だけを狙って攻撃することが可能になります。
この治療法は、患者自身の細胞に頼らず、あらかじめ準備されたiPS細胞ストックから作るため、安定した品質で迅速に提供できるという利点があります。また、従来の治療法に比べて、がんの再発を防ぐ効果や副作用の軽減が期待されており、治療成績を大きく上回る可能性があるとされています。
現在は治験段階ですが、研究チームは2028年頃の実用化を目指して開発を進めており、国の支援を受けたプロジェクトとして注目されています。
この取り組みは、がん治療の未来を大きく変える可能性を秘めており、iPS細胞による免疫療法が「治らない病気」を「治せる病気」に変える日が近づいています。
研究グループ:京大医生物学研究所(日本)
参照:2024年7月23日 読売新聞