MPC療法(Multi-Point Conditioning)とは―“続けやすさ”を重視した新しい疼痛ケア
腰痛は、多くの方が経験する身近な症状です。原因は一つに限らず、加齢による変化、姿勢や動作のくせ、筋力低下、運動不足、過去のけが、疲労の蓄積などが重なって起こることがあります。また、痛みが長引くと「動くのが怖い」「かばって生活する」状態が続き、筋肉や筋膜(筋肉を包む膜)が硬くなって、さらに痛みを感じやすくなるという悪循環に入ることも少なくありません。
当院では、こうした慢性的な痛みの背景を踏まえ、MPC療法(Multi-Point Conditioning)という治療コンセプトに基づく疼痛ケアを行っています。MPCとは、痛みのある場所だけに限らず、患部と関連する筋肉・筋膜・腱などを「多点(Multi-Point)」で評価し、広い範囲を整える(Conditioning)ことを目指す考え方です。治療に伴う負担をできるだけ小さくしながら、症状の軽減と安定を目指します。
腰痛だけでなく、さまざまな痛みに対応を検討できます
MPC療法は腰痛のほか、症状や状態に応じて、次のような痛みに対しても適応を検討します。
- 膝の痛み(変形性膝関節症など)
- 肘の痛み(いわゆるゴルフ肘・テニス肘)
- 肩の痛み(肩関節周囲炎:いわゆる50肩)
- 打撲後の痛みや違和感
- 痛みの原因が「関節そのもの」だけでなく、周囲の組織の緊張や炎症、動きのアンバランスと関連している場合、広い視点でのケアが有用となることがあります。
従来の治療(特に関節内注射)について簡単に
腰痛や膝痛に対しては、一般的に、内服薬・外用薬(湿布など)・理学療法(リハビリ)・運動療法・物理療法などが行われます。症状が強い場合や、部位によっては注射治療が選択されることもあります。
膝の痛みでは、関節の中に薬液を注入する関節内注射(ヒアルロン酸注射など)がよく知られています。関節内注射は、症状によって痛みの軽減や動きの改善が期待できる一方で、患者様が負担に感じやすい次のような点があります。
- 注射に伴う痛みがつらい
- 関節内に針を入れるため、頻度は高くないものの感染リスクがゼロではない
- 状態や目的によっては手技が複雑になり、治療に時間がかかる場合がある
- 痛みの原因が広い範囲にあるとき、複数箇所へ分けて行う治療が難しいことがある
- 「注射が苦手」「続けたいけれど怖い」という理由で、治療の継続が負担になる方もいらっしゃいます。
MPC療法の特徴:従来治療で負担になりやすい点をできるだけ軽く
MPC療法は、従来治療の課題として挙がりやすい「治療に伴う痛み」「感染への不安」「手技の煩雑さ」「治療時間の長さ」「多点(複数箇所)に分けて行いにくい」といった点を、可能な範囲で改善することを重視しています。
| ほぼ無痛・無出血に近い形で実施できる |
治療刺激が小さく、ほぼ無痛で行えることが多いのが特徴です。出血もほとんどない形で実施でき、身体への負担を抑えやすい治療です(痛みの感じ方には個人差があります)。 |
|---|---|
| 安全性を重視し、継続しやすい治療設計 |
痛み治療は「一度で終わる」よりも、状態に応じて複数回重ねることで安定を目指すケースがあります。MPC療法は、負担が小さいことから、医師の判断のもとで連日治療を検討できる場合があります。継続しやすいことは、慢性症状に向き合ううえで大切な要素です。 |
| 治療時間は約20分程度 |
治療時間の目安は20分程度です(症状や部位、当日の状態により前後します)。通院スケジュールに組み込みやすいことも利点です。 |
| 「多点(Multi-Point)」で広い範囲へアプローチできる |
腰痛や膝痛は、痛い場所が一点に見えても、実際には周囲の筋肉・筋膜・腱などが関係していることが少なくありません。MPC療法では、患部と関連する部位を含めて、複数箇所に分けて広い範囲へアプローチできます。これにより、痛みを引き起こしている可能性のある要素を多面的に整えることを目指します。 |
効果・満足度について
MPC療法の目的は、痛みの軽減や日常生活の動きやすさの改善を図り、症状の安定を目指すことです。効果の現れ方やスピードには個人差がありますが、当院では、従来治療を経験されてきた方からも、治療後の体感として良い反応が得られるケースがみられます。
また、負担が小さい治療であることから、医師が状態を確認しながら複数回治療を計画し、症状をさらに抑えて安定させることを目指す選択肢も取れます。
治療後の患者様の声(当院での一例)
|
70代女性 変形性腰椎症、両下肢のしびれ |
MPC療法を2回実施。1回目で体感があり、2回目でさらに改善。神経の圧迫が疑われる部位を中心に8か所に分けて実施。治療時間は20分程度。 |
|---|---|
|
30代男性 慢性腰痛 |
腰部の広い範囲を整える目的で実施。治療時間は20分程度。 |
|
80代男性 変形性膝関節症、左ひざの強い痛みで歩行困難 |
痛みが苦手で関節内注射は避けたい。膝関節周囲に分けて実施。 |
|
40代男性 前十字靭帯再建術の既往、右ひざ痛 |
膝関節周囲に6分割して実施。 |
|
40代女性 肩こり・首の痛み・頭痛 |
治療時間10分。 |
|
40代男性 肩関節周囲炎(50肩) |
肩関節周囲に8分割して実施。 |
※個人の感想であり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。
受診の流れ(目安)
診察で症状・既往歴・生活状況を確認し、必要に応じて検査や評価を行ったうえで、MPC療法が適しているかを判断します。治療を行う場合、当日の状態に応じて、アプローチする範囲や回数の方針をご提案します。
注意事項
- 効果には個人差があります。症状の原因、重症度、体質、生活環境などにより、効果の現れ方や持続は異なります。
- MPC療法は、すべての腰痛・膝痛などに適応となるわけではなく、適応外となる可能性があります。診察のうえで医師が判断します。
- 痛みの感じ方には個人差があり、「ほぼ無痛」を目指した治療ではありますが、部位や状態によっては軽い痛みを感じる場合があります。
- 治療後の経過には差があり、1回で改善を実感する方もいれば、複数回の治療で変化が出る方もいます。
- 他の疾患が隠れている場合や、緊急性の高い症状(強いしびれの進行、筋力低下、排尿排便の異常、発熱を伴う痛み等)が疑われる場合は、別の検査や治療が優先されます。
まとめ
MPC療法(Multi-Point Conditioning)は、患部と関連する筋肉・筋膜・腱などを多点で捉え、広い範囲を整えることを目指す疼痛ケアです。治療に伴う負担を抑え、短時間(約20分)で実施できることから、症状に応じて複数回の治療を重ね、痛みの軽減と安定を目指す選択肢となります。
腰痛だけでなく、膝・肘・肩・打撲など、痛みが続いてお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。